よくある光景
採用支援の仕事をしていると、経営者の方からよくこんなご相談をいただきます。
「とにかく忙しくて時間がない。採用はプロのあなたに全部任せる(丸投げする)から、いい人を連れてきてよ」と。
お気持ちは痛いほど分かります。
中小企業の経営者は孤独で、多忙です。 採用活動が面倒で、誰かに「代行」したくなる気持ちも理解できます。
ですが、私はこのご依頼に対して、心を鬼にしてこうお答えすることにしています。
「作業は私が引き受けます。でも、『選ぶこと』と『口説くこと』だけは、社長がやってください」
なぜ私が、お金をいただけるチャンスを断ってまで、こんな「面倒なこと」を言うのか。 今日はその理由を、少しお話しさせてください。
【プロポーズを代行業者に頼みますか?】
少し極端な例え話をします。 あなたが結婚相手を探しているとして、結婚相談所のコンシェルジュにこう言うでしょうか。 「俺は忙しいから、デートも、相手の見極めも、プロポーズも全部代わりにやっておいて。籍を入れる時だけ行くから」
……おそらく、そんなことはしませんよね。 なぜなら、これから毎日顔を合わせ、人生を共にするパートナーだからです。 「条件(スペック)」が合えば誰でもいいわけではなく、「価値観(フィーリング)」が合うかどうかが重要だからです。
実は、企業の採用もこれと全く同じです。 特に、これから組織を大きくしていこうという中小企業にとって、採用は「労働力の補充」ではなく、「同じ船に乗る仲間探し」のはずです。
スペックで採用した後に起きる悲劇
以前、ある企業で「採用は現場任せ・業者任せ」にしてしまった失敗例を見たことがあります。
経営者は「スキルさえあればいい」と現場に丸投げ。 代行会社は優秀なので、そのオーダー通り「スキルが高い人」を連れてきました。 候補者への魅力付けも、代行会社が完璧に行いました(代行会社は自社を良く見せるプロですから)。
しかし、入社後に何が起きたか。 その優秀な人材は、3ヶ月で辞めてしまいました。
理由はシンプルです。
「社長が何を考えているか分からない」
「聞いていた社風(代行会社が語った社風)と、実際の現場の熱量が違う」
これは、採用代行会社が悪いのではありません。 むしろ素晴らしい仕事をしたと言えます。
ここでの問題点は
「誰と、どこへ向かうのか」という航海図(ビジョン)を、船長である経営者自身が語らなかったことです。
経営者は「あいつは根性がなかった」と言いましたが、私はそうは思いません。これは明らかな「採用のミスマッチ」であり、経営判断のミスです。
本質:中小企業こそ「戦略」が必要
大手企業であれば、整った制度や高いブランド力で人を集められるかもしれません。 しかし、私たちのような中小企業やベンチャーは違います。
「まだ何もないけれど、ここに行けば面白そうだ」 そう思わせる独自のポジショニングと、未来へのストーリーこそが最大の武器です。
この「ストーリー」だけは、外部の人間である私には語れません。どれだけ私が御社を理解しても、創業者の熱量や、経営者の抱える泥臭い苦悩まではコピーできないからです。
私のスタンス:あなたの「右腕」として
だからこそ、私は「丸投げ」をお断りしています。 それは意地悪をしているのではなく、「せっかく入社した人に、不幸になってほしくない」そして「御社の事業を、本気で成長させたい」と思っているからです。
スカウトメールを何百通送るか、日程調整をどうするか。そういった「手足」となる業務は、私が喜んで引き受けます。プロとして、スピード感を持って遂行します。 その代わり、「誰を船に乗せるか」という最後の意思決定と、「ウチに来てくれ」と口説く情熱だけは、どうか経営者であるあなたが持っていてください。
採用は、単なる欠員補充ではありません。 会社の未来を決める、最重要の「経営戦略」です。
「忙しいから」と目を背けず、今こそ自社のポジショニングを見直し、本気で人材に向き合ってみませんか?
本気になったあなたの隣で、私が全力でサポートすることをお約束します。